本ページはプロモーション(広告)が含まれています
社労士の合格率が低い理由をズバリ解説!社労士試験の難易度を徹底分析
社会保険労務士をターゲットにしている方や気になっている方は、合格率は最大の関心事項だと思います。低い合格率を目にした方からは「難易度が高そう」「受かる気がしない」と言った意見を耳にしますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
社労士は独立・転職・就職を考えた時に大変価値のある資格です。合格率はあくまで統計上の数値に過ぎませんから、鵜呑みにして早々に諦めてしまうのは勿体ないと思います。
本記事では、社労士試験の合格率が低くなってしまう原因を5つに分類して、合格率の本音の部分に切り込んで解説致します。
更に、合格率や受験率の推移から社労士試験の今後の展望についても分析を行っていますので、学習を開始する時期や、受験するタイミングを狙っている方も参考にして頂ければと思います。
この記事の目次
社労士と相性の良い資格の合格率と比較してみよう
資格の難易度を推し量る目安はなんと言っても合格率だと思いますが、社労士の合格率だけ眺めていても今ひとつピンと来ないと思いますので、比較用に様々な資格の合格率をまとめておきます。
記載の資格はどれも社労士と相性の良い資格となっており、年1回開催のものから複数回開催のものまで可能な限り集めてみました。「この資格持ってる!」というものがあれば、勉強している時の苦労や学習期間等を思い出してみてください(あまり思い出したく無いかもしれませんけど^^;)。
「まだどの資格も持ってないよ!」という方は、なんとなく想像がつく資格で良いので目安にしてみてくださいね。一応、以下の記事で各資格のあらましが分かるようにまとめていますので適宜ご参照下さい。
■合格率の一覧(直近開催の平均値) | |||
資格名 | 最小値 | 最大値 | 平均値 |
中小企業診断士 1次試験 | 17.70% | 21.70% | 20.37% |
中小企業診断士 2次試験 | 18.80% | 19.40% | 19.13% |
メンタルヘルス・マネジメント Ⅲ種 | 75.70% | 85.50% | 79.77% |
メンタルヘルス・マネジメント Ⅱ種 | 49.30% | 76.70% | 60.78% |
メンタルヘルス・マネジメント Ⅰ種 | 18.40% | 20.20% | 19.10% |
キャリアコンサルタント 学科 | 32.10% | 62.90% | 52.57% |
キャリアコンサルタント 実技 | 65.70% | 75.30% | 70.68% |
日商簿記3級 | 40.30% | 50.90% | 45.93% |
日商簿記 2級 | 14.70% | 47.50% | 25.60% |
日商簿記 1級 | 5.90% | 13.40% | 9.28% |
行政書士 | 9.95% | 15.70% | 12.78% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)3級 学科 | 71.47% | 79.29% | 74.42% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)2級 学科 | 37.95% | 42.90% | 41.18% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)1級 学科 | 8.61% | 12.20% | 10.73% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)3級 実技 | 81.10% | 88.68% | 85.11% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)2級 実技 | 51.73% | 56.33% | 53.76% |
FP(ファイナンシャル・プランナー)1級 実技 | 81.62% | 85.93% | 84.34% |
司法書士 | 3.95% | 4.32% | 4.11% |
税理士 | 11.23% | 19.93% | 13.23% |
記載している合格率は直近開催分のみとなっており、特定の開催団体等に絞って記載しております。詳細な条件は以下の情報を参照して下さい。
社労士試験の直近の合格率の推移
社労士は「難易度が高い!」「難しい!」と言われがちですが、まずは直近の合格率をチェックしてみましょう。先程お示しした社労士と相性の良い資格の合格率と比較してみて下さい。
■過去10年分の合格率一覧 | |||
開催年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2009年度 | 52,983人 | 4,019人 | 7.6% |
2010年度 | 55,445人 | 4,790人 | 8.6% |
2011年度 | 53,392人 | 3,855人 | 7.2% |
2012年度 | 51,960人 | 3,650人 | 7.0% |
2013年度 | 49,292人 | 2,666人 | 5.4% |
2014年度 | 44,546人 | 4,156人 | 9.3% |
2015年度 | 40,712人 | 1,051人 | 2.6% |
2016年度 | 39,972人 | 1,770人 | 4.4% |
2017年度 | 38,685人 | 2,613人 | 6.8% |
2018年度 | 38,427人 | 2,413人 | 6.3% |
平均値 | 46,541人 | 3,098人 | 6.7% |
過去10年分ですと平均6.7%の合格率となりますので、かなりの高難易度資格に分類されます。先程お示しした資格郡から抜粋すると、行政書士・日商簿記1級・FP1級あたりの資格と同等以上の難易度と言って良いでしょう。
「受かる気がしない・・・」と思われる方や「資格のコスパを考えればこの程度は当然!」と前向きに捉える方など、感じ方は様々だと思います。
合格率は資格試験の難易度を推し量る目安にはなりますが、あくまで統計上の数値に過ぎず、数字の中に隠された真の難易度は中々気が付きにくいものです。
ここからは社労士の合格率が低い理由を原因別に整理して行きたいと思います。
年1発勝負の試験による長期学習のリスク
社労士試験は年1回の開催となります。「年1発勝負に命がけで挑む!」という切迫した状態なので、合格率は上がりそうなのですが、学習の長期化によるデメリットの方が多いと言えるでしょう。
学習の長期化による学習意欲の低下は深刻な課題です。曖昧な気持ちで勉強を始めてしまうと後半に差し掛かるとダラダラ学習が続いてしまい、そのままなんとなく本試験に挑んでしまうため、高確率で不合格になるでしょう。
さらに、進捗管理も曖昧な状態で学習を続けると軌道修正が効かず、得意・不得意分野がはっきりしてしまいます。結果、思うように得点が伸びない状態に陥ってしまいまうリスクをはらんでいます。
社労士は6ヶ月~1年あるいはそれ以上の学習期間を要する資格試験です。「税理士や司法書士程難易度は高くない」という情報から、しっかりとした学習計画を建てずにいると、本試験前になって「だめだこりゃ・・・^^;」となってしまいかねないのです。
学習計画をしっかり建ててメリハリをつけ、モチベーションを維持した状態で学習を継続する事が大切です。
科目合格(持ち越し)制度が無い
科目合格とは、一度合格点をクリアした科目について次回以降の試験が免除される制度の事です。科目合格は「税理士」「中小企業診断士」等で採用されていますが、残念ながら社労士にはありません。
不合格の場合は翌年の試験に向けて全科目もう一度勉強し直しになってしまう訳です。社労士は全科目一発合格が必要な点で、他の国家資格と比べても高難易度化しやすいと言えるでしょう。
全て1から勉強し直す訳では無いのでまだマシですが、実力を維持しつつさらなる弱点の強化に努めなければなりません。得意科目は独学で実力をキープし、苦手科目は部分的に資格講座を活用すると言った柔軟な学習戦略が求められるでしょう。
更に年度替わりで大規模な法改正でも入ってしまえば、1科目丸々学習し直しと言ったケースが起こりえますので、個人では予想し辛いリスクもはらんでいます。
法改正に関しては資格学校が共有するトピックスや、セミナー等でこまめに情報収集する事が対策となります。この様な姿勢は本業でも活きてくると思いますので、ルーティーンワークとして出来るようにしておくと良いでしょう。
広い出題範囲(試験範囲)と出題数の多さ
社労士試験は、下記のような科目構成で出題されます。個々の科目の法律知識は社会保険・労働保険のプロにふさわしい深さの知識を問われますので、生半可な知識では太刀打ち出来ません。
試験科目 | 選択式(午前) | 択一式(午後) |
労働基準法及び労働安全衛生法 | 1問 | 10問 |
労働者災害補償保険法 | 1問 | 10問 |
雇用保険法 | 1問 | 10問 |
労務管理その他の労働に関する一般常識 | 1問 | 10問 |
社会保険に関する一般常識 | 1問 | |
健康保険法 | 1問 | 10問 |
厚生年金保険法 | 1問 | 10問 |
国民年金法 | 1問 | 10問 |
合計 | 8問 | 70問 |
法律を読み解くというノウハウは共通して活用出来るものの、科目毎に根拠となる法律・手続き・事例は全く異なるため基本的に別モノとして学習する必要があるので、学習範囲が大変広いのも特徴です。
また、労働管理・社会保険に関する一般常識では、世間の情勢やトレンドを反映した問題が出題されるため、出題予想がし辛い特徴があります。毎年、資格学校等から出題予想が出されるため、これらを押さえて対策しておく必要があります。
この様に出題範囲の広さもありますが、更に出題数の多さも難易度上昇に拍車を掛けています。
特に午後の択一式は210分で70問に解答することになりますので、単純計算で1問あたり [210分] ÷ [70問] = [3分/問] となり、解答に相当なスピード感が求められます。
午前の出来が良くない場合、午後の200分オーバーの試験時間がどうしても頭をよぎるので、午後の試験を受けずに諦めて離脱する方が毎回結構な割合で出てしまうのも頷けます。
社労士試験では時計の持ち込みが許可されていますので、普段通りのペースが出せているかチェックする事が重要です。時計をチラ見するぐらいの余裕を持てる程に、演習の場数をこなす事が重要です。
合格基準点(足切り)の存在
社労士試験は「選択式(午前)」「択一式(午後)」それぞれの総得点が◯◯点以上という条件に加え、さらに科目毎に◯◯点以上の得点が必要という合格基準が敷かれます。
そのためまぐれでの合格はまずありえないと言えます。
■社労士試験の合格基準(※2018年/第50回の例) | |
出題形式 | 合格基準 |
選択式 | 総得点24点以上かつ各科目3点以上(ただし、社会保険に関する一般常識及び国民年金法は2点以上)である者 |
択一式 | 総得点45点以上かつ各科目4点以上 |
合格基準が総得点だけならば、得意科目でしっかり得点を稼ぐ事ができれば合格の可能性は十分あるのですが、科目毎の合格基準すなわち「足切り」が存在するために合格率が低くなる傾向にあります。
科目ごとに難易度の差はあれど「この科目を得点源にすれば受かる」という救済措置が無いのが社労士試験です。そのため、各科目ともバランスよく得点する事が求められます。
受験者層が30~40代、社会人が多くを占める
社労士試験の合格者を年代別に見てみると30~40代が最も多くなります。この年代は、結婚・昇進・大口のローンなどライフプランの大きな節目に差し掛かるゾーンなので、収入アップのために行動に移す方が多くなります。
仕事・家庭にも油の乗っている世代なのですが、単純に加齢に伴う学習速度の低下は否定出来ません。
「芸能人の名前が思い出せない」「映像は浮かぶけど言語化出来ない」と言った症状に心当たりがある方は多いと思います。更に、良くも悪くも会社に染まっているので、新しい事を覚えたり取り組んだりする柔軟性がなくなっています。
そんな状態の中で、新しい法律を覚えたり解釈の仕方を身につける作業は、経験者でもなければ中々骨が折れる作業です。ただ、80歳位の方でも社労士に合格されていますから、要はやる気次第という事実もありますので、強い思いを持って学習を続ける事が大切です。
続いて、合格者の職業の内訳を見てみると社会人が圧倒的多数を占めています。「社内でのキャリアアップのため」「転職のため」「独立のため」に社労士をターゲットにする方が多いという事を示しています。
時間の自由度が高い学生と異なり、限られた時間で最高効率で学習を進めなくてはなりませんが、帰宅後に疲れた体に鞭打っての2~3時間を毎日勉強に費やすのは相当な努力が必要となります。
子育てに、あるいはたまの休日は家族サービスにと時間は限られていますので「一体いつ勉強すればいいのか?!」という方は多いでしょう。
十分な学習時間を確保できずに消化不良のまま本試験に突入してしまう方が相当数いらっしゃると思いますから、これも合格率を下げる大きな要因となっています。
社労士試験の今後の傾向分析
「社労士試験は今後どうなっていくのか?」受験を考えられている方にとっては、方向性はとても重要だと思います。近年の合格率の推移から分析してみましょう。
社労士試験の合格率の推移
社労士試験の合格率は、グラフ化してみると結構浮き沈みが激しい事が分かると思います。特に2015年試験における2%台という強烈な合格率は目を引きますね。
この年は高難易度かつ救済措置が行われなかったために合格率が低下したと分析されています。救済措置と言ってもほんの数点なのですが、たった数点の事で合格率がガクッと下がるという事は、社労士の受験者の多くはボーダーラインギリギリの実力の方が多いということを案に示しています。
先程社会人の合格者が圧倒的に多いと申し上げたとおり、皆さん必至に勉強時間を確保してやっとの思いで社労士に挑んでいるという事になろうかと思います。まあ、そこまでして挑む価値があると判断している方が多いと言う事でしょうね。
一度大きく下落した合格率は近年は回復傾向にあり、これは試験対策本を制作する出版社や各種資格学校の傾向分析や対策の早さによる所がとても大きいと思います。
近年は「働き方改革」を始めとした「会社」を取り巻く法律の変化が大きい時期に突入しており、特定社会保険労務士の活用など職域の拡大が顕著になっていますので、「是非社労士の肩書が欲しい」と思う方が多数出てくるのは必然です。
しかし、社労士の活躍の場が広がる度に試験内容の改定を行って来た今までの経緯を考えると「手軽に取れる資格」を目指しているとは思えませんので、今後試験の難易度が下がるとは考えにくいかと考えます。
社労士という高いブランド力維持するためには、実力のないものを振るいに掛ける必要があるという訳ですね。
近年の合格率の収束を見る限り「5~6%を保ちたいんだろうな・・・」という思惑が見て取れますので、今後その辺りに落ち着くと推測しています。
受験者数・受験率の傾向
受験者数の傾向もついでに参考情報として確認しておきましょう。
受験者数は下落傾向ですが一時の資格取得ブームが過ぎ去った事もあり、雇用環境の改善や少子化も相まって、資格試験の受験者数は社労士に限らず軒並み減少傾向を示しています。
ただ、近年はほぼ横ばいで底堅い推移を示しており、社労士は常に人気ランキング上位にいる資格なので、今後も需要は継続すると考えます。
折れ線グラフは [受験申込者数] ÷ [受験者数] = [受験率(%)] の推移を表しています。おおよそ78%程度で推移していますので、約2割の方が申し込んだけど実際に受験をしていない事を示しています。
受験料が9,000円という絶妙な金額なので、試験日までに十分な実力を身につける事が出来なかった方は、あっさり受験を諦めてしまう傾向にあると言えます。これが1万円の大台に乗っていれば、もう少し受験率は上がると思いますけどね。
法律系の国家資格はおおよそ2割程度は諦める方が出る傾向が出る事がわかっていますので、社労士が特別多いという訳ではありません。皆さんは高いモチベーションを保って是非8割の方に入って頂きたいと思います。
一人っきりで勉強する独学の方はモチベーション維持に難がありますので、無料のセミナーや資格学校が主催しているスクーリング制度を活用する事で、他の受験者のエネルギーを貰う事が出来ますので、活用する事をおすすめ致します。
社労士の合格率が低い理由まとめ
最後に社労士試験の合格率が低くなってしまう原因を、もう一度おさらいしておきます。割とネガティブな事も述べましたが、全く対策がないわけではありません。
■合格率が低くなってしまう原因と対策 | |
原因 | 対策 |
年1発勝負の試験による長期学習のリスク | 初期の学習計画の立案と進捗管理による軌道修正を適宜行い、目標を見失わないようにする事 |
科目合格(持ち越し)制度が無い | 資格講座をスポット的に活用するなど効率化を図る事 |
広い出題範囲(試験範囲)と出題数の多さ | 基礎学習を終わらせて、演習問題をこなすステップになるべく早く移行して場数をこなす事 |
合格基準点(足切り)の存在 | 自分だけで抱え込まず、苦手科目は資格学校やセミナー等を活用して第3者視点で自分の弱みを捉える事 |
受験者層が30~40代、社会人が多くを占める | スキマ時間の活用や資格講座の活用で学習時間不足を補う事 |
時間の無い社会人の方は、回り道している時間はあまり無いと思います。資格講座は魅力的なのですが、フルスペックだとかなりお値段が張りますから、スポット的に単科講座を活用すれば費用も抑えられ、学習効率のアップを図る事が出来ますので学習戦略としておすすめしておきます。
見かけ上の合格率は確かに低いものの、よく考えると回避できるリスクはありますので、「合格率 = 難易度」の方程式は必ずしも正しいとは言えません。冒頭申し上げた通り、数値だけみて社労士を諦めるのは非常に勿体無いと思います。
社労士は苦労して取得する価値のある資格である事は違いないと思いますので、最初の学習計画をしっかりと立てて、他の受験者に負けないよう高いモチベーションで学習する事を心がけて下さい。