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社労士試験合格後の流れ完全版!事務指定講習・登録・入会手続き・費用完全網羅!
社労士試験に合格したら「すぐに開業して社労士としてバリバリ稼ぐぞ!」と行きたい所ですが・・・、実は資格を取得しただけでは「社会保険労務士」を名乗る事は出来ないという事をご存知でしょうか。
ええ~!あんなにすっごい苦労して資格を取ったのにまだ何かしなくちゃいけないの・・・?!
はい、堂々社労士を名乗って仕事をするには社労士名簿への「登録」が必要であるという事と、社労士登録には一定の実務経験が必要というのがポイントとなります。
社労士として働くまでの流れを図式化すると以下のようになります。
本記事では社労士試験に合格した後の流れについて詳細に解説しております。
この記事の目次
社労士登録に必要な実務経験とは?
社会保険労務士試験に合格した方が、社労士として働くためには全国社会保険労務士連合会に備える社労士名簿に登録が必要となります。
そして、登録のためには所定の実務経験が必要となっており、「2年以上の実務経験」がないと登録出来ません。具体的に実務経験とは何を指しているのでしょうか、詳しく見てみましょう。
実務経験とは?
2年間の実務経験とは、社会保険労務士法施行規則第1条の11に掲げる事務であり、具体的には労働社会保険諸法令に関する実務経験をいいます。
2年間の実務経験とは、社会保険労務士法施行規則第1条の11に掲げる事務であり、具体的には労働社会保険諸法令に関する実務経験をいいます。
実務経験をお硬い表現をすると、上記の様になってしまいますのでちょっとイメージし辛いですね。実務経験の具体例は、登録の際に提出する「従事期間証明書」に具体的な内容が記載されており、以下の通りとなります。
労働社会保険諸法令関係事務の具体例
- 雇用保険、健康保険、厚生年金保険の被保険者資格取得・喪失届に関する事務
- 健康保険、厚生年金保険の被保険者報酬月額算定基礎届・月額変更届に関する事務
- 雇用保険被保険者離職証明書の作成
- 労働保険の概算・確定保険料の申告・納付に関する事務
- 就業規則(変更)届に関する事務
- 時間外労働・休日労働に関する協定届の作成
- 労働者名簿の調製
- 給与計算事務は、労働社会保険諸法令関係事務に該当しません
ご覧の通り一部例外を除いて「THE社労士の仕事!」という内容がズラリと並んでおり、社労士試験に合格したばかりの方がこれらの要件を満たすのは結構ハードルが高いと思います。
ちなみに、実務経験の内容について確認を希望する場合は、従事期間証明書に必要事項を記入して、連合会登録課あてにFAXすれば後日回答してくれます。
このままでは「試験勉強しながら下積みもしなきゃいけないのか・・・」となってしまいますが、実は事務指定講習を受講することで「実務経験」の要件をクリアする事が出来てしまいます。
事務指定講習で実務経験の要件をクリア!
事務指定講習は社労士の登録を行っている「全国社会保険労務士会連合会」自身が主催しており、何とも絶妙なカラクリになっているなあ・・・という印象だと思いますが、それはひとまずおいておいて、「事務指定講習を修了すれば、2年分の実務経験を積んだ事にしてあげるよ」という、ありがたい研修制度です。
ある程度の費用はかかりますが、本来2年もの実務経験(下積み)が必要な所が4ヶ月程度に短縮出来ますので、時間的なメリットはかなり大きいと思います。
事務指定講習の概要
正式名称 | 労働社会保険諸法令関係事務指定講習 |
主催 | 全国社会保険労務士会連合会 |
申し込み期間 | 11月中旬~12月初旬に掛けて |
受講資格者 | 社会保険労務士試験合格者等であって、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に 従事した期間が2年に満たないもの(昭和57年4月1日前に社会保険労務士試験に合格した者を除く) |
受講料 | 77,000円(税込) |
講習内容 | 通信指導課程(4月間)と、面接指導課程(4日間)の組み合わせにより行います |
修了認定 |
通信指導課程及び面接指導課程の所定の要件をいずれも満たし、全課程を修了したと認められる者に対し修了証を交付します。
|
11月中旬~12月初旬に掛けて申込みって事は合格発表があってすぐに申し込みって事かな?ふえええ・・・7万円オーバーかあ、地味に高いなあ(T_T)。
合格発表後まもなく申し込み期間となりますが、具体的な有効期限がある訳ではありません。極端な話、合格して10年後に事務指定講習を受講するなんて事も可能ですが、知識があるうちに受講した方が良いので、早い方が良いに決まっています。
費用については、この金額を安いと捉えるか高いと捉えるかは人それぞれだと思いますが、「時間を金で買う」という意味では迷わず支払うべきかと思います。何れにせよ費用をしっかり確保しておく事を忘れずに。
事務指定講習ではどんな事をするの?
事務指定講習では4ヶ月の通信指導課程と4日間の面接指導課程をこなす事になります。これから社労士として働く方向けの講習なので、実務に即した内容となっており、試験勉強とは一線を画していると言えます。
通信指導課程
通信指導課程は例年2月から5月にかけて行われます。「通信」と言う名の通り、連合会から送られてきた教材で課題をこなして期限までに提出するといったものです。
教材は、受講証・課題書・様式記載例・様式集・返信用封筒・社労士ハンドブック・社労士六法・社労士手帳など、社労士の仕事を始める人向けのスターターキットと言って良い内容です。
与えられる課題は、仮想に設定された会社を舞台として「従業員を新たに雇用した場合の手続きはどうしますか?」と言ったケースバイケースの事例に対して、切り取り出来る用になっている様式集に記入してゆきます。
様式の記入例はテキストに記載されているので、基本的にはそれを見ながら書き込んでゆきますが、手続き・様式の記入方法については市販の書籍が多数出版されていますので、別途購入して課題をこなすのも良いと思います。
課題として設定されている事例は29あり、4ヶ月間に3回提出すると随時添削された解答が戻って来ます。期限内に課題を提出し終えたら通信指導過程は修了となります。
実は課題の模範解答などはネットで調べると割と入手出来てしまうため、丸写しで提出して終わらせる事も可能といえば可能なのですが・・・、それではなんの意味もありません。
事務指定講習は高い費用を払っているだけあって実務に即した課題が与えられますので、価値があります。「どうせ実務をこなし始めたらやるから、今は適当で良いや」という考えは捨てないと、後で結局勉強し直す羽目になります。
面接指導課程
面接指導過程では、各都道府県社労士会から支部長や副支部長クラスの現役社労士が講師を務め、実際の事例を元に解説が行われます。面接指導と言いつつも、主に科目ごとに講義を聞く形式になります。
「実務に役立つ有意義な内容だった」「時間が長くて辛かった」「開業のビジョンが見えて楽しかった」と、会場や講師によって感想は様々ですが、決してピリピリと胃が痛くなるようなものではないです。
面接指導課程は「場」に赴いて講義を受ける以上、いつでも受講出来るというわけではなく一定の期間内で行われます。具体的には、例年7月から9月にかけて東京、愛知、大阪、福岡等の大都市圏で各4日間実施される形です。
面接指導課程では、数日間同じ志を持った者同士が集うわけですから、少なからず人脈作りの側面もあるようです。たった4日間ですが、独立開業を目指す方は既にキャリアの第一歩がスタートしていると言っても良いでしょう。
最終日の受講が修了すると晴れて修了証が交付されます。この修了証は、全国社会保険労務士連合会への登録に必要な書類となりますので、なくさないようにしっかり保管しておきましょう。
社労士名簿に登録しよう!
社労士試験に合格し、2年の実務経験または事務指定講習を修了された方、おめでとうございます!これで晴れて社労士として登録する条件が整った訳ですね。
登録申請に有効期限はありませんが、善は急げ!「早速書類を揃えて、全国社会保険労務士会連合会に申し込みするぞ!」と行きたいところですが・・・
全国社会保険労務士会連合会(以下連合会)のHPには、以下のような記載があります。
社労士の登録申請について
社労士の資格を有する者が社労士になるには、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)に備える社労士名簿に登録を受けなければなりません(社労士法第14条の2第1項)。
社労士の資格を有する者が社労士になるには、全国社会保険労務士会連合会(以下「連合会」という。)に備える社労士名簿に登録を受けなければなりません(社労士法第14条の2第1項)。
また、社労士は、登録を受けたときに、当然、都道府県の社会保険労務士会の会員となることになっています。入会するのは、開業する事務所、もしくは勤務先事業所の所在地または居住地の住所の区域に設立されている都道府県の社会保険労務士会となります(社労士法第25条の29第1項)。
つまりは、連合会に備えてある名簿に登録するには、都道府県の社会保険労務士会で登録手続きを行う事になるという訳です。要は窓口は連合会ではなく都道府県の社会保険労務士会という事ですね。
各都道府県社労士会でおこなった社労士登録は、自動的に連合会に備えられた社会保険労務士名簿に反映されるというカラクリになっていますので、全国の社労士会を束ねる親玉が「連合会」という理解で良いでしょう。
更に「社会保険労務士会の会員となる」という記載がある通り、社労士会には必ず入会しなければなりません。
社労士名簿への「登録」と社労士会への「入会」はセットなのね、そうなると費用がすごい気になる!
社労士登録は3種類
登録に際して抑えておいて頂きたい事項があります。社労士登録には「開業登録・勤務等登録・その他登録」の3パターンが存在するという点です。
登録は1種類ではなく、ご自身の働き方に合った形態で登録するという点は、社労士ならではの制度と言えるでしょう。社労士の働き方については、以下の記事も参考にしてみて下さい。
開業登録
ご自身の事務所を開設して、ご自身の名前で業として社会保険労務士の仕事をする場合は「開業登録」となります。独立開業して生計を立てている社労士は開業登録をしているという訳ですね。
また、社会保険労務士法人の社員である社労士も開業登録が必要となっています。
勤務等登録
社労士事務所や社会保険労務士法人の社員以外の方や、一般企業に属して会社内で社労士業務に従事する場合は「勤務等登録」となります。
勤務等登録では、勤務している社労士事務所や社会保険労務士法人と別に、独自に顧客と契約して社労士業務を行うことはできませんし、一般企業等に勤務登録している場合は、勤務している企業の従業員の手続き等、事業所内の社労士業務しか行うことができません。
その他登録
その他登録は、分類上は勤務社労士の一部となります。具体的には、一時的に休業している方、開業社労士・勤務社労士の準備段階である方、資格学校の講師などがその他登録されています。
その他登録では、社労士業務に携わる事は出来ませんが、対外的に社労士を名乗る事が出来るのでネームバリューの恩恵を受ける事が可能です。また、社労士会の研修などに参加出来るので、知識のブラッシュアップを図れるメリットがあります。
年会費が勤務等登録と同等に設定されている事が多いので、開業登録よりも費用が抑えられるというメリットもあります。
登録申請手続き
■登録申請に必要な書類 | |
社会保険労務士登録申請書(様式第1号) | |
社会保険労務士試験合格証書の写し | |
従事期間証明書(様式第8号)又は事務指定講習修了証の写し | |
住民票の写し(提出の日前3ヶ月以内に市区町村から交付されたマイナンバーの記載のないもの、コピー不可) | |
写真票(縦3cm、横2.5cm、背景無地、無帽、正面向の鮮明な写真) | |
戸籍抄本、個人事項証明書又は改製原戸籍(提出の日前3ヶ月以内に市区町村から交付されたマイナンバーの記載のないもの、コピー不可)。次のいずれかに該当する方のみ必要です。
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通称併記願(通称名の使用を希望する方のみ) | ■登録申請に必要な費用 |
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登録申請に基本的に必要な書類は記載の通りなのですが、入会予定の都道府県によっては他にも書類が必要な場合がありますので、各都道府県の社会保険労務士会のホームページ等でチェックしましょう。
登録申請に必要な費用ですが・・・、合計60,000円と結構な金額になります。登録に関しては費用は一度っきりなのですが、その後は後述する社労士会への会費が継続して発生する事になりますので、登録に二の足を踏んでしまう方が多い要因となっています。
入会手続き
先程社労士登録は3種類あるとご説明しましたが、種類によって入会金・年会費が大きく異なり、各都道府県の社会保険労務士会によって差があるという点にも注目です。
ここでは、東京都と大阪の社労士会を例としてお示ししておりますので、比較してみて下さい。
東京都社会保険労務士会 | ||
登録種別 | 入会金 | 年会費 |
開業登録 | 50,000円 | 96,000円 |
勤務等登録 | 30,000円 | 42,000円 |
必要書類 | ||
|
大阪府会保険労務士会 | ||
登録種別 | 入会金 | 年会費 |
開業登録 | 150,000円 | 84,000円 |
勤務等登録 | 100,000円 | 42,000円 |
必要書類 | ||
|
お金めちゃ掛かるかから社労士会へ入会したくないよ・・・、入らなくても良い?
社労士として働くまでも結構大変ですが、働きだしても年会費という形で費用が継続的に掛かる事になります。これに関しては「決まりなので!」と返してしまうのは少々芸がないので、社労士登録及び社労士会に入会するメリットにも触れておきましょう。
社労士登録のメリットとは?
研修で知識のブラッシュアップが可能
最近ですとマイナンバーや働き方改革と言った大きなテーマについては、全国の社労士会で研修が開催されていますので、参加することで最新の知識を吸収する事が可能です。
また、研究会・研究グループが設けられており、例えば就業規則や労働紛争と言ったテーマ毎に定期的に研究会が催されていますので、知識のブラッシュアップや最新のトレンドを把握するのに役立ちます。
研修や研究会と言った「場」に出向いて情報を吸収する姿勢が求められますが、社労士会に入会していればそのような場が提供されるという大きなメリットがあります。
更に、社労士会の所属支部からは定期的に会報が送られて来ます。そこでは法改正項目や判例、あるいは関係法令の周知を始め、旬の話題なども共有されますので、最新の動向を知る手がかりになります。
まあ、裏を返すと社労士とは取ったら終わりではなく、常に知識のアップデートが求められる資格であると言える訳ですね。
ビジネスの基本、人脈作りが出来る
研修や社労士会の各種活動に出席する事により、社労士同士の自然と横のつながりが増えて来ますから、人脈を構築しておくに越した事はありません。特に新米の方は、同業で既に安定的に収益を得ている方は、これからビジネスを展開する上で良い参考になると思います。
様々な社労士の現場の生の声を聞くことが出来ますから、今どのようなジャンルが収益性が高く、参入障壁が低いのかといった分析を行う事で、自身のビジネスに活かす事も可能となります。
また、社労士同士の繋がりから、更には関連の深い士業である税理士・司法書士と言った人材とも交流を深める事で、ビジネスを広げるチャンスともなります。社労士のビジネスモデルについては、以下の記事も参照してみて下さい。
社労士試験合格後の流れ総まとめ
堂々社労士を名乗って仕事をするまでのトータルの費用としては、概算で以下のような内訳となります。
社労士になるための費用
- 社労士試験対策のための費用(テキスト・講座) :数千~数万円
- 社労士試験受験料:9,000円
- 事務指定講習:77,000円
- 社労士名簿の登録にかかる費用:60,000円
- 社労士会への入会費用:146,000円
ざっと見積もって30万弱といった所でしょうか。開業するとなると更に、事務所の費用・広告費・その他備品などを揃える必要がありますので、それらも見積もっておく必要もあるでしょう。
社労士はこのような面倒な前提条件や登録手続きがあるという事は、それだけ権威・価値の高い資格だという事の裏返しと言えます。
そのため、合格を目指す方々の「熱量」は他資格に比べて高いと肌で感じます(※皆さんガチです)。社労士は開業・勤務問わず需要はありますし、皆さん何としても手に入れたい資格な訳ですね。
社労士の需要については以下の記事も参考にしていただければと思います。本記事が皆様のお役に立てれば幸いです。